映画「君の名は。」 ティアマト彗星の軌道について

ネットで映画「君の名は。」について検索していたら、ティアマト彗星の軌道について話題になっていました。

映画内で何度か出て来るティアマト彗星について解説しているテレビ番組内で示されるティアマト彗星の軌道がおかしいという話題です。

【2017/07/25追記】
DVD版では、ティアマト彗星の軌道は正しく修正されていました。

ティアマト彗星の軌道について

話題の概略を図に示すと下の図のような感じ

映画「君の名は。」でのティアマト彗星の軌道

彗星が太陽の手前で折り返してしまっている。
これだと、太陽の周りを周回せず、二度と戻ってこない非周期彗星になってしまいます。

設定では、ティアマト彗星は1200年に一度やってくる彗星となっているし、1200年前に糸守湖を作った隕石の落下もこのティアマト彗星だと暗にほのめかせているところからすると、この図ではストーリーが成り立たなくなるように思います。

なので、ティアマト彗星の軌道は正確には、下の図の赤破線に示したように、太陽の向こうまで行って引き返すのでなければなりません。

映画「君の名は。」でのティアマト彗星のあるべき軌道

映画内での扱い

映画内で、宮水家のテレビでティアマト彗星について語られているシーンは3回ありました。

1回目は短く、三葉が初めて入れ替わった次の日の朝食のシーン。
君の名は。 で、最初にティアマト彗星のニュースが流れているシーン
映画「君の名は。」より引用
防災放送で、町長選挙についてのお知らせが流れたときに、防災放送のコンセントを抜き、テレビのスイッチを入れたときに流れているニュースでのティアマト彗星について。
一瞬ですが、よく見ると、この時のティアマト彗星の軌道は正しく太陽の逆側で折り返しています。

上のシーンのテレビ部分を拡大すると、ティアマト彗星は太陽を周回するように正しく描かれています。
映画「君の名は。」より引用

2回目、3回目は、もう少し詳しくティアマト彗星について語っているテレビのシーン。
こちらは2回ともティアマト彗星軌道が間違って描かれています

ティアマト彗星の軌道についての考察

物語の某らの理由付けのためわざとそうしているのか・・・という説もネット上にはありますけれど、1度は正しく記載されていることもあり、そういう意味で「わざと」軌道をそう描いているとは思えません。

物理学的な知見と、周期彗星であるという設定からすると、あり得ない軌道なのですけれど、細かいことを気にし始めると

  • 隕石が雲を突き抜けるときに、雲が下に棚引かないから
  • 地球にほぼ最接近したときに分裂しても本体ごと落ちるのならともかく、破片だけが、地球に落ちてこれないでしょ。
  • クレーターにはならなかった糸守高校に避難してても、あの距離なら爆発時の衝撃波で全員死ぬでしょ。
  • 変電所を爆破したら、周りの停電は場所ごとに順々に発生するのではなくて、一斉に停電するでしょ。電気が伝わるのはそんなに遅くないんだから。
  • 停電する瞬間の宮水神社の遠景のシーンで、停電と同時に、走っている車の前照灯も消えているようだけど、車のライトは消えないでしょ【訂正2017/01/26】IMAXでもう一度観てきました。車のライト以外が全部消えた瞬間にカット割りが変わっただけで、車のライト自体は消えていなかったので訂正します。
  • 宮水神社のお祭りで出ている露店の電気って、普通は発動発電機を使って露店の裏とかで発電しているので、変電所を爆破して商用電源が停電しても、露店は停電しないでしょ。

とか現実と矛盾することはいろいろあるので、彗星の軌道についても「まあ、このあたりは適当だったんだねぇ」と思って楽しんでしまえばいいんじゃないかなと思います。

風景描写は、非常に緻密に綺麗に書かれているので、何もかもが正確なのかと錯覚してしまいがちですが、そうでもないですよ。

本当に現実以上に綺麗な風景描写には、現実からすれば正しくないこともいろいろ含んでいるようですからね。

DVDでのティアマト彗星の軌道 (2017/07/25追記)


2017年7月25日、ついにDVDが発売されました。
予約販売に申し込んでいたので、発売日にちゃんと届きました。

もちろん、ティアマト彗星の軌道とか、スマホ画面の文章とか、最後に東京(須賀神社)で再会するまでの足取りとかを確認してみました。

んでもって、ティアマト彗星の軌道についてです。

ティアマト彗星の軌道が描かれたニュースは映画の中で3回登場して、1回目は正確なのに、2回目と3回目は太陽を周回せず地球を周回する軌道が描かれていました。

DVDでは、
DVD「君の名は。」ティアマト彗星2回目

DVD「君の名は。」ティアマト彗星3回目

と、いずれもティアマト彗星は太陽を周回するよう修正されています

DVD版でしれっと修正されているということは、どうやら映画で描かれていた間違った軌道に深い意味はなく「ただ単に間違っていただけ」ということなのですね。

DVDだと、止めて何度でも確認できるので、気づいたのですが、2回目と3回目のティアマト彗星を解説するニュース画面って、出ているお姉さんの服こそ違うけれど髪型は同じ。テロップも「ティアマト彗星 いよいよ近地点に」と全く同じ。

それに、3回とも時刻が「7:26」と同じなのです。
















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